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東京高等裁判所 昭和60年(行ケ)83号 判決

請求の原因一、二及び三1の事実は当事者間に争いがなく、同三2の事実については被告において明らかに争わないから、これを自白したものとみなす。

この事実によれば、本件審決前に被告は本願商標に関する権利一切を原告に譲渡するとともに、原告に対し本件審判請求を取下げることを約していたものということができるから、右の譲渡及び取下げの合意により、被告は本件審判請求の利益を失つたものと認められる。なお、本件では審決に至るまで被告は本件審判の請求を取下げていないが、右の譲渡及び取下げの合意にもかかわらず被告が本件審判を請求する首肯すべき特段の事情が認められない以上、現実の取下行為がなかつたことは前記判断を左右するものではない。

そうであれば、被告が審判請求の利益を有することを前提としてなされた本件審決は違法であつて取消を免れない。

よつて、原告の本訴請求を正当として認容する。

〔編註〕 本件における請求原因は左のとおりである。

第二 請求の原因

一 特許庁における手続の経緯

原告(被請求人)は、指定商品を第一九類「台所用品、日用品」とする別紙記載の登録第九三五二二三号商標(昭和四三年七月二六日登録出願、昭和四六年一一月六日登録、昭和五七年二月二六日存続期間更新の登録、以下「本件商標」という。)の商標権者であるところ、被告(請求人)は、昭和五八年二月二六日、商標法五〇条一項に基づき、本件商標の指定商品中「日用品」についての登録取消を求めて審判の請求をした。特許庁は右請求を昭和五八年審判第三九六六号事件として審理したうえ、昭和六〇年三月二八日これを認容する審決をし、その謄本は、同年五月二日、原告に送達された。

二 審決の理由の要点

1 本件商標の構成、出願日、登録日、存続期間更新の登録日は前項記載のとおりである。

2 被告は商願昭五五―六五八五五号により商標登録出願をしたところ(以下、この出願に係る商標を「本願商標」という。)、本件商標を引用され、右出願につき拒絶理由通知を受けたのであるから、本件審判請求については利害関係を有する。

3 原告は、本件商標を、その指定商品中「日用品」について継続して三年以上日本国内で使用した事実を立証しなかつたから、右の使用の事実はなかつたものと推認せざるを得ない。また、原告は本件商標を使用しなかつたことにつき正当な理由があつたことの主張もしていない。

4 よつて、本件商標はその指定商品中「日用品」について商標法五〇条により、これを取消すべきである。

三 審決を取消すべき事由

1 原告は、昭和六〇年一月三〇日、被告から被告出願に係る本願商標に関する権利を譲受け、同年六月一八日、特許庁に対し、その登録出願人の名義変更届を提出した。

2 被告は前項の譲渡の際、原告に対し、本件審判請求を取下げることを約した。

3 したがつて、被告は本件審判請求について利害関係を失つたものであるから、本件審判請求は不適法である。よつて、被告が右の利害関係を有するとしてなされた本件審決は違法なものとして取消を免れない。

第三 請求の原因の認否

請求の原因一、二及び三1、3は認める。

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